テロ

[海外事件簿]スリランカの高級ホテルや教会など8カ所で自爆テロ 死者253人、負傷者500人以上 映像ツイッターあり

地図 コロンボ(スリランカ)

時間を追うごとに増え続ける犠牲者

4月21日、スリランカのコロンボを主に起きた自爆テロによる犠牲者は、当初約140人とされたがその後増え続け、253人にのぼった(4月26日現在)。

(スリランカ政府は25日、日本人1人を含む死者数を359人から253人へと大幅に下方修正した。ばらばらになった遺体が数多く、正確な死者数を出すのは困難で、二重集計があったようだ)。

当初、6カ所の教会やホテルで爆発があったと報じられたが、その後2カ所で爆発があった。

8件の爆発のうちコロンボの3件と近郊ネゴンボの1件が同じ午前8時45分(日本時間午後0時15分)に発生。

その5分後にコロンボでもう1件、さらに15分後、東部バティカロアで1件起きた。

高い精度で実行された同時多発テロだった可能性が疑われている。

最後の爆発は、警察が踏み込んだ家で起き、容疑者の自爆で警官3人が巻き添えになった。

さらにコロンボの空港で「簡易爆弾(IED)」とみられる爆発物が見つかり、21日夜までに処理された。



外国の情報機関からの警告を活かせなかった政府に批判

「イスラム過激派『ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)』が、いくつか目立つ教会と、インド大使館を狙い自爆攻撃を計画していると外国の情報機関が報告してきた」

と警告する文書が10日ほど前、警察内部で回覧されていたという。

にもかかわらず、このテロを防ぐことが出来なかったのは政府が適切な対応をとらなかったからだとして、政府の責任を追及する声も地元メディアで広がり始めている。

NTJは昨年、仏像を破壊する事件を起こしたとして捜査関係者の間ではその名を知られていた。

22日、治安当局は24人を拘束した。

詳細はまだ明らかになっていないが、過激派に属し、地元の者だという。

ただ、テロの実行組織やその動機など事件の背景は不明のままだ。



2009年の内戦終結後、観光客が毎年10%以上増え続けた

スリランカは、26年にも及び7万~8万人の死者が出た、反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との内戦が2009年5月に終結し、各国からの投資や観光客が増加していた。

スリランカの最新国勢調査によると、上座部(テーラワーダ)仏教の信徒70.2%、ヒンドゥー教徒12.6%、イスラム教徒9.7%、キリスト教徒7%で、キリスト教徒のほとんどはカトリック教徒だ。

昨年3月にシンハラ人がイスラム教のモスクやイスラム教徒が所有する建物を襲撃する事件が発生したものの、宗教対立によるテロや襲撃はなく、治安にそれほど問題はなかった。

今年5月から日本などを対象に観光ビザを無償化し、観光客をさらに呼び込もうとしていただけに痛手は大きい。

スリランカは内戦終結後、観光客が毎年10%以上増え続け、2016年には200万人を突破している。

日本からの直行便もあり、日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本人観光客は年間5万人近くに達しているという。

このテロがイスラム過激派による犯行となると、宗教対立の激化による騒乱が懸念される。



3つの教会との3つの高級ホテルで爆発

日曜日の朝(4月21日)、スリランカの高級ホテルや教会で爆発があり、地元メディアは、290人が死亡し、500人以上が負傷したと伝えている。

死亡した外国人35人のなかに日本人もいると報じられ、外務省が確認を急いでいたが、現地在住の高橋香さん(30代)の死亡が確認された。

高橋香さんがテロに巻き込まれたのは、コロンボ市内のシャングリラホテル。

レストランで夫、子ども2人の家族4人で朝食を食べている最中に爆発は起きた。

2度の爆発があり、天井が崩れ落ち、窓ガラスも割れた。

高橋香さんを含む客8人と、従業員4人のあわせて12人が巻き込まれて亡くなったという。

他に日本人4人(うち3人は、高橋さんの夫と子ども?)の負傷が確認された。

そのうちの1人は30代の日本大使館職員。

もう1人は、出張中の40代のKDDIの社員矢島一巨さん。

安倍晋三首相は22日午前、首相官邸で記者団に次のように述べた。

「深い悲しみを覚えると同時に強い憤りを感じる。このようなテロは断じて許すことはできない。強く非難する」

外国人の犠牲者は、日本、トルコ、イギリス、デンマーク、インド、オランダ、中国、オーストラリア、ポルトガルなど39人に及ぶという。

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当初報じられた6カ所に続き2カ所、合計8カ所で爆発

当初6カ所と伝えられたが、合わせて8カ所で相次いで爆発があった。

この日はキリスト教の復活祭で、その礼拝に出席した人々を狙って、コッホチエード(Kochchikade)、ニゴンボ(Negombo)とバティカロア(Batticaloa)の教会で爆発が起こった。



地図 コッホチエード教会

地図 バティカロア教会

州の放送局SLRCによると、追加の爆発が首都コロンボの3つのホテル、シャングリ・ラ、シナモングランド、キングスベリー・ホテルで起きた。

その後2カ所で爆発があった。

さらに爆発のあった2カ所とは、コロンボ南郊のデヒワラ動物園前のホテルと、爆発に関連して警察が出動したコロンボ市内の民家。

地図 デヒワラ動物園

警官らが民家にいた人物らに事情を聴き始めたところで2回の爆発があり、警官3人が死亡した。

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「私は全身にたくさんの身体部分が散らばっているのを見た」

スリランカのハーシャ・デ・シルバ(De Silva)国会議員は「外国人を含む多くの死傷者」とツイートしている。

デシルバ議員によると、今回の爆発の発生場所は、コロンボのキングスベリー(Kingsbury)にあるコッホチエード教会とシャングリラ・ホテル。

「恐ろしいシーン、私は全身にたくさんの身体部分が散らばっているのを見た」

とデ・シルバ議員は語った。

デシルバ議員は、スリランカ陸軍、海軍、空軍の首脳が、ラニル・ヴィクレミンヘ(Ranil Wickremasinghe)首相や他の閣僚達との緊急会議を開くために集まったと述べた。

参考記事:CNN

アメリカ国務省はさらなるテロ警戒を呼びかけている

AP通信は、8カ所のうち6カ所の爆発は7人の実行犯による自爆テロの可能性があると報じた。

アメリカの国務省はさらなるテロを警戒。

渡航者に対して観光地や公共交通機関など人が集まる場所は長時間、滞在しないよう呼び掛けている。

逮捕した24人のうち13人はイスラム過激派か

地元警察はこれまでに24人を逮捕。

うち最初に逮捕した13人はイスラム過激派とみられる。

スリランカ政府高官は、22日、今回の爆弾テロについて地元のイスラム過激派「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」の犯行との見方を示した。

ただ、NTJは小規模な地元組織のため、実行が可能だったのか疑問もあり、国際的な過激派組織とのつながりも調べているという。

NTJが教会への自爆テロを計画しているとの情報が今回の事件の10日ほど前に外国の情報機関から寄せられており、スリランカの閣僚が21日、そのことを示す内部文書の画像をツイッターに投稿した。

21日夜の記者会見で、ラニル・ウィクラマシンハ首相は、

当局が事前に爆破計画の情報を察知していたのではないかといううわさに言及し、「なぜ適切な予防措置がとられなかったのか、調べなくてはならない。私も他の閣僚も、報告を受けていなかった」

と述べた。

その上で首相は、「今は犯人の身柄拘束が最優先課題だ」と強調した。

スリランカの治安当局は事件前からNTJの動向を注視し、何らかの事件を起こす可能性があると警察に伝えていたという。

しかし、ラニル・ウィクラマシンハ首相と閣僚たちには報告がなかった、と閣僚たちは話している。

同国では昨年から、マイトリーパーラ・シリセーナ大統領とウィクラマシンハ首相の関係が悪化し、首相に治安関連の情報が共有されなくなったようだ。

国防省は警察のトップに、詳細な情報を伝達。

その情報には、外国の情報機関がNTJへの警戒が必要としているとする内容や、NTJのメンバーの氏名も含まれていたという。

これを受け、11日には治安当局内の幹部数人にメモが送られたとされる。

アメリカのメディアは、アメリカとインドが今月、何らかの事件の危険性を知らせる情報をスリランカに伝達していたと報じている。

ただ、シリセーナ大統領がその情報を得ていたかは明らかになっていない。

大統領は22日朝、国家安全保障会議を招集した。

スリランカ政府は22日も夜間外出禁止令を発令し、厳戒態勢を続けている。

22日夜、教会「聖アンソニー廟(びょう、St Anthony’s Shrine)」から約50メートル離れた場所でまた爆発があった。

爆弾が発見され、警察が処理に当たっていた。

22日、大統領府が23日午前0時からの非常事態宣言を施行すると発表した。

参考記事:BBC

追記2019/04/23

スリランカで発生した連続爆発事件で、警察は、爆発に関与した疑いがあるとして40人を拘束したと明らかにした。

全員がスリランカ人だという。

拘束された容疑者の中に60代の富豪ユスフ・モハマド・イブラヒム容疑者が含まれており、彼が事件を主導した疑いがあることがわかった。
息子2人も、一連の自爆テロの実行役だったとみられている。

スリランカ政府は23日、事件がニュージーランド(NZ)南部クライストチャーチのイスラム教礼拝所(モスク)で3月に起きた銃乱射事件への報復だった可能性があると明らかにした。国会でウィジェワルデネ防衛副大臣が明らかにした。

過激派組織「イスラム国」が、自身の情報サイト「アーマーク通信」を通じて犯行声明を発表した。ただ、不自然な点も残されていて今後の捜査が待たれる。

追記2019/04/30

日本からも大型連休で旅行者が訪れる予定だったがキャンセルが続出。キャンセルは日本人旅行者だけに限らない。

スリランカの昨年の観光収入は約44億ドル(約4910億円)だったが、同国財務省は最低でも30%の減少を見込む。

回復には「2年は掛かる」といわれる。

スリランカの昨年の対外債務は530億ドル(5兆9千億円)でGDP(国内総生産)の7割以上。
2017年には対中債務返済に行き詰まり、南部ハンバントタ港の運営権を中国企業に譲渡した。

追記2019/05/08

スリランカの警察幹部は5月7日、先月21日に発生し、257人が死亡した連続爆発事件で、治安当局が犯行に関与したすべてのイスラム過激派戦闘員を殺害、または逮捕したと明らかにした。



地図

Twitter

↑デ・シルバ議員のツイッター。「怖ろしい光景だ。私はたくさんの体の部分があちこちに散らばっているのを見ました。緊急対応班はべての場所で全力を尽くしています」